賃貸
Q. 借主が行方不明の場合の解除・明け渡し
- 賃貸マンションの借主が6 か月前から行方不明で、賃料も8 か月分滞納しています。室内にはガラクタの家具や電気製自がいっぱい放置されたままです。この揚合の明け渡しを求める法的手続きの手順はどうすればよいですか。
-
A.
1借主が居住していれば通常は、借主に対し、内容証明郵便にて解除通知を行う。
1) 借主が家賃を滞納していても、契約が解除されない限り、貸主は借主に対し明け渡しを求めることはできません。そこで、内容証明郵便で「滞納家賃8 か月分合計00 万円を本書到達後O 日以内に支払え。支払わなければ、あらためて解除の意思表示をすることなく、本書をもって、契約を解除する。」と書いて、催告の上、条件付き解除の意思表示をします。
2) 内容証明郵便が借主不在で郵便局に留め置かれ、その後発送した貸主に返送された場合でも、借主が借家に居住していれば、内容証明郵便を見ることが可能であるので、解除の意思表示は借主に到達し、解除の効果が発生すると解することができます。つまり、解除の内容証明郵便は、相手方である借主の支配下に入れば、すなわち、「みようと思えばみることができれば」到達したものとみなされ、解除の効果が発生します。
2借主が長期不在の場合
1) 本件のように借主が長期不在の場合、借家に居住していると認められませんので、内容証明を送っても、解除の意思表示は、借主に到達したことにはなりません。すなわち解除の効果は発生しません。
2) 本件のような場合、解除の効果を発生させるには、公示送達としいう手続をとる必要があります。
3 公示送達
1) 公示送達というのは、借主に解除の内容証明を送りたくても、相手方がそこにおらず、行方不明になっているような場合において、解除の意思表示などが相手方に届いたのと同じような効力を発生させる送達の手続を言います。
2) 公示送達は、以下の、手続で行うことができます(民法9 8 条)
① 相手方の住所、居所を知ることができないとき
② 相手方の最後の住所地を管轄する簡易裁判所に公示送達の申立をする。
③ 裁判所は、解除の内容証明郵便を裁判所の掲示板に掲示し、掲示したことを官報に掲載して公告する。
④ 官報等に掲載した日から2 週間経過した時点で相手方に解除の意思表示が到達した(解除の効果が発生した)とみなされる。
データ更新日:2018/03/11