賃貸

Q. 連帯保証人の債務の相続について

夫は友人が賃借しているマンションの連帯保証人になっていましたが、1ヶ月前に夫が他界しました。ところが、マンションの貸主より、借主である夫の友人が夫の生前に発生した賃料4ヶ月分を滞納しているので支払ってほしいとの連絡がありました。私が、夫は亡くなったことを伝えると、貸主に「それじゃ、奥さんが払って下さい。」と言われました。
請求された4ヶ月分の滞納賃料を支払う義務がありますか。

A.

1相続開始前の賃料支払い義務について
1)連帯保証人である夫の生前に発生した家賃未払いに対応する保証債務は、通常の金銭債務と同様、相続の対象となります。したがって、相続人は、保証人の生前に発生した保証債務については弁済の必要があります。
2)なお、連帯保証人の推定相続人が相続放棄をすれば、相続人たる地位を失うので、保証債務を相続しないで済みますが、相続放棄をすると、被相続人固有の財産も相続できなくなります。相続放棄は、相続人が相続の開始及び相続財産(資産と負債)を知った時から3か月以内に、家庭裁判所に放棄の手続を行う必要があります。
3)次に、相続人は、被相続人の債務のうち、どの範囲で義務を負うかが問題となります。この点につき、諸説ありますが、判例は一貫して、金銭債務のような可分債務については、法定相続分に応じて負担すればよいという立場をとっています。
本件の場合、妻と2 人の娘が相続人であるため、夫の生存中に発生した滞納家賃についての保証債務(金銭債務)、妻が2分の1(2か月分)、娘 2人がそれぞれ4分の1(1か月分)ずつの割合で支払う義務を負うことになります。

2以上のとおり、夫が借家契約の連帯保証人で、あった場合に、夫が死亡すると連帯保証人の責任が、相続人である妻や子に及ぶ可能性があります。本件のように4か月分の滞納家賃の保証債務ではあまり考えられませんが、夫の遺産と比較して、連帯保証人の債務やその他の債務の合計額が過大である場合は、相続放棄や、遺産の範囲でのみ相続人の債務を負担するという限定承認の手続を執るべきことも考えられますので、そのときは弁護士等に具体的に相談することをお勧めします。
データ更新日:2018/03/09