賃貸

Q. 賃料の値下げについて

店舗を借りていますが、隣りも同じ広さの店舗で同じ貸主ですが借りた時期が異なります。隣りの賃料は月額16万円でこちらは20万円です。同額に値下げしてほしいのですが、どうすればよいですか。(借主側の希望する値下げた賃料(16万円〉を家主に支払い、家主が受け取らない揚合には、供託すればよいと友人は言いますがそれでよいのですか。

A.

1 借主から値下げの請求をしたとしても、貸主からの請求額を支払う必要があります。値下げ請求をすれば、勝手に値下げした賃料額を支払えば済むということにはなりません。つまり、貸主は、借主から値下げ請求を受けた後も、話し合い・調停で賃料の値下げについて合意するか、又は、訴訟で賃料の値下げ額が確定するまでは、貸主の方で従前の賃料額(20万円)以下の金額で、貸主が相当であると考える金額の賃料を請求することができます。借主は、この貸主の判断した請求額を支払わないと、賃料の不払いとなってしまいます 。
例えば、家主は値下げすべきでないと考えれば、貸主が値下げ請求を受けた後も、月額20万円の賃料を借主に請求し、借主は、話し合い・調停で、賃料の値下げについて合意する、又は、訴訟で賃料の値下げ額が確定するまでは、月額20万円の賃料を支払う義務を負います。このように、借主が一方的に値下げ詩求後の賃料を決めて、家主に支払ったり、供託しても、賃料の不払いが生じて、借家契約を解除される危険が生じますので、友人のアドバイスは誤りといえます。

2 なお、同種同面積の隣室が16万円で貸しているからと言って、本件の借主の家賃が当然に16万円に下がる訳ではありません。
裁判では、例えば、月額20万円の賃料を合意した時期から、値下げ請求した日までに、周辺の賃料相場がどれだけ下落したか、その下落率を20万円に掛けて相当な賃料を計算する考え方が重視されます。
例えば、今から3 年前に賃料を月額20万円とすることを合意した後、隣室になかなか借り手が付かないので、今から1年前に月額16万円に減額したとしても、周辺の家賃相場が今から3年前に比べて10% しか下がっていない場合には、本件の相当賃料は月額18万円ということになり、月額16万円までは下げられないことになります。
データ更新日:2018/03/09