賃貸

Q. 賃料値上げと供託について

賃料10万円の貸家の契約を10年前に締結した貸主です。10年間、ずっと同じ賃料だったため周りの相場と開きができたことから、借主に2万円の値上げを申し入れたのですが、納得してもらえませんでした。
10万円の受領を拒否したところ、(昔主は供託してきたのですが、供託されだ賃料を受領しでもよいでしょうか。受領してよいとすれば、どんな手続きが必要ですか。

A.

供託された賃料を受領することはできますが、その際に、供託された金額が増額賃料の一部であることを明らかにして、供託金の還付を受ける必要があります。

1 持参の場合
1) 貸主が賃料の増額請求をした後に、借主が従前の賃料を持参した場合において、貸主が特に異議を述べずにそのまま賃料を受領したときは、賃料債務全額に対する弁済として受領したものと扱われ、貸主は賃料増額請求の意思表示を撤回したものとみなされる可能性があります。
2) したがって、増額請求後に、借主が従前どおりの賃料を持参した場合には、貸主は、以下のいずれかの方法を取るとよいでしょう。
① 賃料の領収証に、「平成1 9 年O 月O 日増額請求後の賃料月額O万円の一部としてと記載して、あくまでも増額後の賃料の一部として受領したことを明確にしておく。
② 「平成O年O月分の賃料として」と領収証を書いて受領し、遅滞なく「先日の賃料は、値上請求後のO万円の賃料の一部として受領する」旨の通知書を借主に送っておく。

2 増額請求後の借主による従前の家賃額の振込
値上請求後に、借主により従前の家賃額の振込があった場合は、特別な対処をすぐにする必要はありません。しかし、値上請求後1 年以上も、借主から値上前の賃料送金を受けながら、値上げのための交渉・調停・訴訟等を行わないと、やはり値上請求を撤回したとみなされる危険もあります。
データ更新日:2018/03/09