賃貸
Q. 賃料値上げについて
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12年前に、賃料月額10万円のアパートを普通借家契約で借りました。契約更新時期が迫っていましたが、昨日、貸主から更新後の賃料を2万円値上げし12万円にすると一方的に言われましだ。あまりに高く納得できません。値上げには応じたくないので、更新契約書を交わすことができないまま更新時期が来てしまいました。とりあえず、私は更新後は家賃を幾ら払えばよいのでしょうか?
2 賃料の値上げ請求がなされた場合に、値上げ額が正当か否かはどのように決まるのでしょうか?
3 契約書に「次回更新の際には、10%の家賃の値上げをする。」との記載があった場合は、当然値上げに応じなければなりませんか。 -
A.
1 貸主との話し合いにより、更新後の新賃料額について合意で、きない場合は、契約更新後、借主は、値上げ請求前の賃料(本件では月額10万円)以上の金額で借主が相当だと考える賃料を支払うことになります。
例えば、貸主が2万円値上げするとの請求をしたことに対して、借主が5000円だったら値上げしてもよいと考える場合は、値上げ請求を受けた後は、10万5000円の賃料を支払うことになります。値上げ自体に納得がいかないのであれば、これまでどおり10万円の賃料を支払います。
2 貸主と借主の間で値上げ額が決まらない場合には、貸主は、賃料値上げ請求の調停を提起し、そこでも話し合いがまとまらない場合には、調停を不調にした後、賃料増額請求訴訟を裁判所に提起し、裁判所が不動産鑑定士による賃料の鑑定を行って、値上げ請求が正当か否か、値上げできる賃料額がいくらかを決めることになります。賃料の増額手続については、貸主・借主の関係が、その後も継続していくことに配慮して、いきなり裁判で決着を付けるのではなく、裁判所で調停委員によるアドバイスを受けながら話し合いをする調停手続を経て、それでも合意できない場合には、裁判で決めるという手続(調停前置主義)になっています。なお、アパートの家賃の値上げで、裁判が起こされることは、あまり考えられませんが、将来訴訟で仮に11万円への値上げが認められた場合、値上げ請求された時点に遡って、借主は、現実に払った家賃との差額に年10% の利息を付けて精算しなければなりませんので、ご注意下さい。
3 値上げ請求に当然に応じる必要はなく、前記2 と同様に、この10% の値上げが妥当か否かを裁判で争うことが可能です。その場合は、特約自体は有効ですので、特約により貸主から更新後の賃料について増額請求できるものと扱われますが、借主としては、更新後の賃料についても、従前どおりの賃料10万円以上で相当だと考える賃料を支払うことになります。なお、後に説明するように、賃料の自動増額の特約に応じて、増額後の賃料を支払って更新した場合でも、増額後の賃料が不相当である場合には、借主は、改めて賃料の減額請求が可能とされています。
データ更新日:2018/03/09